サブリースでは、サブリース業者がオーナーから建物を一括で借り上げ、入居者に転貸します。 「30年家賃保証」と勧誘されたのに家賃を減額された、というトラブルが相次いだことから、 賃貸住宅管理業法の第3章でオーナー保護のルールが定められました。 法・施行規則と、国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」をもとに整理します。

用語と規制の対象

用語 意味
特定賃貸借契約(マスターリース契約) 賃借人が第三者に転貸する事業を営む目的で結ぶ賃貸住宅の賃貸借。賃貸人の親族や関係会社が借りる場合は除く(法2条4項)
特定転貸事業者(サブリース業者) 特定賃貸借契約で借りた住宅を転貸する事業を営む者(法2条5項)
勧誘者 特定転貸事業者が勧誘を行わせる者。建設会社、不動産業者、金融機関なども当たりうる(法28条)

サブリース規制は管理戸数に関係なく適用されます。200戸という登録の基準とは無関係です。 また勧誘者は、明示的な委託がなくても、特定転貸事業者から勧誘を依頼・任されていれば該当し、 資本関係も問いません。一方、契約の内容や条件に触れずに単に事業者を紹介するだけなら勧誘に当たりません。

規制の主語を整理する

規制 対象者 罰則
誇大広告等の禁止(法28条) 特定転貸事業者と勧誘者 30万円以下の罰金
不当な勧誘等の禁止(法29条) 特定転貸事業者と勧誘者 不実告知・故意の不告知は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
重要事項説明(法30条) 特定転貸事業者のみ 書面不交付などは50万円以下の罰金
契約締結時書面(法31条) 特定転貸事業者のみ 同上
書類の閲覧(法32条) 特定転貸事業者のみ 30万円以下の罰金

覚え方のコツ

  • 勧誘者が守るのは「広告と勧誘」の2つだけ。書面と説明はサブリース業者の仕事
  • 罰則が一番重いのは「ウソをつく勧誘」(拘禁刑あり)

誇大広告等の禁止

著しく事実に相違する表示や、実際よりも著しく優良・有利と誤認させる表示が禁止されます。 対象となる事項は、①家賃の額・支払期日・支払方法などとその変更、②維持保全の実施方法、 ③維持保全の費用分担、④契約の解除です(規則42条)。

ガイドラインが特に求めるのは、「家賃保証」「空室保証」と表示するときに、 隣接する箇所に「定期的な家賃の見直しがあること」と「借地借家法32条により家賃が減額されうること」を表示することです。 リスク情報を離れた場所に小さく書くのは、誇大広告に当たる具体例として挙げられています。 広告の媒体は新聞・雑誌・テレビ・インターネットなどを問いません。

不当な勧誘等の禁止

故意に事実を告げない、または不実のことを告げる行為が禁止されます(法29条1号)。 将来の家賃減額リスク、オーナーからの解約には正当事由が必要なこと、修繕費用の負担などをあえて伝えない勧誘が典型例です。 実際に契約が結ばれたかどうかは問いません。

ほかに、次の行為も禁止されています(規則43条)。

  • 契約させるため、または解除を妨げるために威迫する
  • 迷惑を覚えさせる時間に電話や訪問で勧誘する(一般に午後9時から午前8時まで
  • 深夜・長時間の勧誘などで困惑させる
  • 契約しない意思を示した相手に執ように勧誘する(一度でも再勧誘すれば違反)

特定賃貸借契約の重要事項説明

説明事項は14項目あります(規則45条)。家賃とその変更、維持保全の実施方法と費用分担、 損害賠償額の予定・違約金、契約の更新・解除、契約終了時の権利義務の承継借地借家法など関係法令の概要などが含まれるのが管理受託契約との違いです。 説明者に資格の定めはなく、特定転貸事業者自らが行います。1週間程度の期間をおくことが望ましい点は管理受託契約と同じです。

ガイドラインは、普通借家のマスターリースでは「家賃を減額しない」特約があっても借地借家法32条1項によりサブリース業者から減額請求ができること、 オーナーからの更新拒絶には正当事由が必要なことを説明するよう求めています。 この2点は、サブリースの勧誘で最もトラブルになりやすいところです。