維持保全の分野では、給水・排水設備が毎年のように出題されます。 仕組みの理解と、水道法・建築基準法施行令・告示に書かれた数字の両方が問われるので、セットで押さえましょう。
給水方式の違い
| 方式 | 仕組み | 特徴 |
|---|---|---|
| 水道直結直圧方式 | 水道本管の圧力だけで各戸に給水 | 受水槽がなく衛生的。低層の建物向き |
| 水道直結増圧方式 | 本管に増圧ポンプをつないで圧力を上げて給水 | 受水槽が不要で、中高層でも直結できる |
| 受水槽+高置水槽方式 | 受水槽にためた水をポンプで屋上の高置(高架)水槽に揚げ、重力で各戸へ | 停電・断水時も一定量を使える。水槽の衛生管理が必要 |
| 受水槽+ポンプ直送方式 | 受水槽の水を加圧ポンプで直接各戸へ | 高置水槽が不要 |
「直結」は受水槽を経由しない方式、「受水槽」方式はいったんためる方式、と区別すると整理しやすくなります。
受水槽の管理(簡易専用水道)
水道から供給される水だけを水源とし、受水槽の有効容量の合計が10㎥を超えるものは「簡易専用水道」に当たります (水道法3条7項、同法施行令2条)。設置者(建物のオーナー)には次の義務があります。
| 義務 | 頻度・内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 水槽の掃除 | 毎年1回以上定期に | 水道法施行規則55条1号 |
| 汚染防止 | 水槽の点検など | 同条2号 |
| 異常時の検査 | 水の色・濁り・臭い・味に異常があれば水質検査 | 同条3号 |
| 危険時の措置 | 健康を害するおそれを知ったら直ちに給水を停止し、関係者に周知 | 同条4号 |
| 定期検査 | 地方公共団体の機関または登録検査機関の検査を毎年1回以上 | 水道法34条の2第2項、施行規則56条 |
水道行政は2024年4月に厚生労働省から国土交通省へ移管され、これらの規定も現在は国土交通省令になっています。
覚え方のコツ
- 簡易専用水道は「10㎥を超える」(10㎥ちょうどは含まない)
- 清掃も検査も「年1回以上」
給水タンクの構造と給水配管のルール
建設省告示1597号は、建物内の給水タンクについて次のような構造を求めています。
- タンクの天井・底・周壁の保守点検を外部から容易・安全に行えるように設ける(いわゆる六面点検)
- 天井・底・周壁を建物の他の部分と兼用しない
- 内部に飲料水以外の配管を設けない
- マンホールは直径60cm以上の円が内接する大きさ(小規模なタンクを除く)
- ほこりなどが入らない構造のオーバーフロー管を設ける
また、建築基準法施行令129条の2の4第2項は、飲料水の配管について次の2つを定めています。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| クロスコネクションの禁止 | 飲料水の配管と、それ以外の配管を直接連結しない |
| 逆流防止 | 水槽・流しなどに給水する水栓は、あふれ面と水栓の開口部との**垂直距離(吐水口空間)**を適当に保つなどして逆流を防ぐ |
水栓を急に閉めたときに配管内の圧力が急上昇して衝撃音が出る現象をウォーターハンマーといいます。 シングルレバー水栓などで起こりやすく、配管の振動や損傷の原因になります。
排水設備の基本
排水は、トイレからの汚水、台所・浴室・洗面所などからの雑排水、屋根などからの雨水に分けられます。
排水トラップ
排水トラップは、管内に水(封水)をためて、下水からの臭気や害虫が室内に上がってくるのを防ぐ設備です。
| 論点 | 内容(告示1597号) |
|---|---|
| 封水深 | 5cm以上10cm以下(阻集器を兼ねるものは5cm以上) |
| 二重トラップ | 1つの排水系統にトラップを直列に2つ設けない(排水の流れが悪くなるため禁止) |
| 雨水排水管 | 汚水の配管に連結する場合は、雨水排水管に排水トラップを設ける |
封水がなくなる「破封」は、長期間の空室で水が蒸発する、排水の勢いで封水が吸い出される(自己サイホン作用、ほかの器具の排水による誘導サイホン作用)、 髪の毛などを伝って水が流れ出る(毛細管現象)などで起こります。 空室の臭気の苦情は、まず蒸発による破封を疑い、定期的に通水するのが基本の対処です。
通気管
通気管は、排水管内の圧力と大気圧の差によってトラップが破封しないように、排水管内に空気を出入りさせる管です。 直接外気に衛生上有効に開放することが求められています(告示1597号)。
排水槽
地下などに設ける排水槽は、底に吸込みピットを設け、底の勾配を吸込みピットに向かって1/15以上1/10以下とするなど、 保守点検しやすい構造にします。マンホールは給水タンクと同じく直径60cm以上です。