賃貸住宅管理業者がオーナー(賃貸人)から管理を受託するときには、 **契約前の重要事項説明(法13条)契約後の書面交付(法14条)**の2段階の義務があります。 どちらも毎年のように出題される論点です。法・施行規則と、国土交通省「解釈・運用の考え方」をもとに整理します。

2つの義務の比較

項目 重要事項説明(法13条) 契約締結時書面(法14条)
時期 管理受託契約を締結するまでに 契約を締結したとき、遅滞なく
方法 書面を交付して説明 書面の交付(説明義務はない)
相手方 賃貸人。ただし管理業者・宅建業者などの専門家は除く 委託者(賃貸人)
電磁的方法 賃貸人の承諾があれば可 同じく承諾があれば可
違反の罰則 罰則はない(業務改善命令などの監督処分の対象) 30万円以下の罰金(法44条4号)

説明が不要になる「専門的知識及び経験を有する者」は、賃貸住宅管理業者、特定転貸事業者、宅地建物取引業者、特定目的会社、組合、一定の信託の受託者、都市再生機構、地方住宅供給公社です(規則30条)。 個人のベテラン大家は除外されない点に注意しましょう。賃貸経営の経験が長くても説明は必要です。

重要事項として説明する11項目(規則31条)

  1. 管理業者の商号・名称・氏名、登録年月日と登録番号
  2. 管理業務の対象となる賃貸住宅
  3. 管理業務の内容と実施方法
  4. 報酬の額、支払の時期と方法
  5. 報酬に含まれない費用で、管理業者が通常必要とするもの(水道光熱費、空室管理費など)
  6. 管理業務の一部の再委託に関する事項
  7. 責任と免責に関する事項
  8. 委託者への定期報告に関する事項
  9. 契約期間に関する事項
  10. 入居者への③の周知に関する事項
  11. 契約の更新と解除に関する事項

覚え方のコツ

  • 誰が・何を・いくらで・誰に任せて・何かあったら・どう報告し・いつまで・入居者に・どう終わる」の順に並んでいる
  • 管理業務の全部の再委託は禁止(法15条)。説明するのは一部の再委託

説明のしかた(解釈・運用の考え方)

  • 説明者は業務管理者でなくてもよい。ただし業務管理者の管理・監督の下で行う
  • 説明は委託を受けようとする管理業者自らが行う
  • 説明から契約締結まで1週間程度の期間をおくことが望ましい
  • 契約期間中や更新時に説明事項を変える「変更契約」も説明が必要。ただし説明は変更のあった事項だけでよく、相手方が承諾すれば期間をおかなくてもよい
  • 契約の同一性を保ったまま期間だけ延長する場合など、形式的な変更なら説明しなくてよい

物件が売却されて賃貸人が変わった場合、委託者の地位を承継する特約がなく契約が引き継がれないときは、 新しい賃貸人との契約は新規契約なので、重要事項説明と締結時書面の交付をやり直します。

テレビ会議などのIT重説と電話

IT重説は次のすべてを満たせば、対面と同様に扱われます。

  • 映像と音声で双方向にやりとりでき、書類や説明内容を十分に理解できる環境
  • 相手方が承諾した場合を除き、重要事項説明書をあらかじめ送付している
  • 説明開始前に、相手方が書面を確認できる状態か、映像・音声に問題がないかを確認している

電話での説明が認められるのは変更契約の場合だけです。事前の書面送付、賃貸人からの依頼、書面を見ながら説明を受けられることの事前確認、理解したことの事後確認が条件で、 賃貸人が対面やIT重説を希望したときはその方法で説明しなければなりません。

契約締結時書面の記載事項

法14条1項は、対象の賃貸住宅、管理業務の実施方法、契約期間、報酬、更新・解除の定めを挙げ、 規則35条が登録番号、管理業務の内容、再委託・責任免責の定め、定期報告、入居者への周知などを加えています。 これらを記載した管理受託契約書があれば、それを締結時書面にできます